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―――…安眠を邪魔する時計の音。 襖の隙間からちょうど顔の部分に差し込む太陽の光。
いつもと変わらぬ朝が再びやってきた安堵感と退屈感と共に半人半妖の吸血鬼である俺、月下結城は目を覚ました。
パジャマの代わりとして着ているジャージを脱ぎ、まるで巫女服のような神主用の朱と白の服を慣れた手つきで着て、俺は襖を開ける。
…今日も眩しく輝く太陽が恨めしくもあり、太陽が平気な人間が羨ましくもある…そんな微妙な気持ちのまま俺は居間に向かい歩きだした。
「まぁ、一応浴びても平気ではあるんだけどな…正直キツいしな………長時間は」
そんな事はさておき、この世に生を受け早千年、しかし記憶は五百年前より前の記憶、つまり五百歳より前の記憶はない、所謂部分的な記憶喪失である。
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