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聖なる夜の尊き犠牲
明日の夜こそ年に一度の奇跡の夜だという日の夜中、リヒャルトはルドルフを呼び出した。
静まり返った深夜、耳が切れるほど冷え込んだ空気が、大気に充ちている。
「あ、あの・・・・リヒャルト、話って何かな。」
呼び出されたルドルフは、ビクビクしながら小声でリヒャルトに話しかけた。
その控えめで気弱な態度が、リヒャルトには気に入らなかった。
「明日、彼女と組むのを替われ。俺がやる。」
「えっ⁉だ、駄目だよ、リヒャルト!」
予想通り、ルドルフは断ってきた。
それが余計に腹が立つ。
普段目立たずいつも誰かの後ろに隠れているくせに、本番だけはあの美しい彼女と必ず組むのはルドルフなのだ。
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