切磋琢磨な実情。

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「今年の事は今年のうちに……だな」 いつの間にか泣き止み薄先生はビシッと格好つけて言った。 切り替えが早い。 「どっかで聞いたフレーズ」 思わず琢磨は呟いた。 「俺達は新しい恋をみつけなきゃな」 涙をごしごし拭いながら修は言う。 「俺はもう筋肉が恋人でいいよ」 順也はふて腐れている。 「(何なんだろうこの人達……)」 かける言葉が見つからず琢磨は困っている。 「……掃子。 出掛けよう」 キリッとした顔で薄先生は綺麗田先生の手をとった。 しれっとジェントルマンになっていた。 「意味がわからないけどいいわよ」 ニコニコしながら綺麗田先生は頷き頬を赤らめた。 綺麗田先生はあまり状況が分かってないがノリでついてきているようである。 完全に二人の世界が出来上がっている。 「あの、掃除は?」 二人の世界をぶち壊し琢磨は尋ねた。 「任せた!」 ポンッと琢磨の肩を叩き薄先生は右手の親指を立てて満面の笑みを浮かべた。 キラリと光る白い歯がなんともいえない感じである。 「はぁ?」 さすがの琢磨もイラッときたようである。 薄スマイルが何ともいえない……。 「さらば!」 脇に綺麗田先生を抱え薄先生は汗を飛ばしながら逃走した。 「いや、任せたってね。 某CMみたいな事言ってたくせに」 小さくなっていく二人を見ながら琢磨は完全に呆れ返っている。 「畜生~! 野郎共さっさとやってしまおうぜ!」 今まで落ち込んでいた順也が復活し叫んだ。 半ば自棄になっている。 「アイアイサー!」 それに反応し修も復活する。 「……この人達の煤払いを先にしたいぜ」 切り替えの早い二人を見て琢磨はため息をついた。 ━━…… その後、薄先生は戻ってこなく結局三人で煤払いをした。 何だかんだ言って得したのは言いだしっぺの薄先生だった。 ……━━ みなさんも心の煤も家の煤も払ってしまいましょうね。
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