切磋琢磨な実情。

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*** 12月某日。 この話はとある学校のとある寮での話であ~る! 「ゴルァ! 野郎共集合!」 バカみたいに叫ぶこの男は薄 一ノ介(すすきいちのすけ)。 がたいのいい筋肉もりもり男は、教師兼寮の管理人である。 噂ではただ単に寮に住み着いただけとか言われてる体育教師である。 1に筋肉2に筋肉3、4がなくて5に筋肉なのだ。 「ういうい。 薄センセは元気だな~」 最初に現れたのは一年の里見 琢磨(さとみ たくま)。 自他共に認めるインテリ男子学生。 ガリ勉だけどイケメン。 キラリと光る眼鏡とシュッとした顔は誰もが魅了する。 「面倒くせぇ~。 薄センセー何スか」 少しボサついた茶色の長めの髪をかきあげながら、二年の原井 修(はらい おさむ)が面倒臭そうに現れた。 ちなみに彼はお金大好き人間。 「自分も野郎じゃないか…… ススキックめ」 筋肉ムキムキ長身角刈り男三年の節佐 順也(せつさ じゅんや)は何故かダンベルを持ち上げたまま現れた。 彼、通称・セツジュンは体を鍛える事が生き甲斐である。 同じ筋肉族の薄先生をライバル視している。 「黙らっしゃい! 今日は叙紫寮(じょしりょう)という名の男子寮の大掃除の日であるぞ!」 ドンッと足をならして薄先生は怒鳴った。 「あの~……」 しどろもどろしながらゆっくりと琢磨は手を挙げた。 「はい! 琢磨!」 薄先生はビシッと琢磨を指差した。 「みんな実家に帰って寮生は三人しかいないんですが?」 がらんとした寮内を見渡しながら琢磨は言う。 「っつかさ、みんな各自でやればよくね?」 口を尖らせ修は文句を言う。 「思った~」 順也は相槌を打つ。 「だよな~」 何を思ったのか二人は手を取り合いくるくる回った。 「キモス」 くるくる回る二人を露骨に嫌そうな眼差しで琢磨は見ている。 「黙れ。 残り物」 三人を見ながら薄先生は言ってはならない事を言った。 「残り物とは失礼な。 俺達には俺達の理由があんだよ」 順也は目を吊り上げ薄先生に言う。 「ほほぅ。 じゃあ、順に述べよ」 腕組みをし薄先生は三人を順に見た。
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