切磋琢磨な実情。

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「俺、ここの方が勉強集中できるし。 今が勝負なんですよね~」 そう言って琢磨は自慢げな顔をする。 「……まだ高一じゃん」 順也はため息混じりに言う。 「節佐先輩! 甘いですよ! 今気を抜いたらダメなんです!」 順也に顔を近づけ琢磨は鼻息を荒くした。 イケメンが台なしである。 「まぁまぁ。 そう怒るなよ。 ちなみに俺はバイト~。 専門学校行く前に金貯めなきゃだし……」 琢磨を落ち着かせながら修は言う。 「真面目なんですね、原井先輩」 修が意外に真面目な事が判明し、琢磨は感心している、 「んにゃ、金がないだけ。 っつか、親に迷惑かけたくないしな」 頭をかきながら修は苦笑いした。 「俺はひたすら筋トレ。 実業団行くの決まったし今のうち体鍛えなきゃだからな」 自慢の筋肉(上腕)をみせながら順也は言う。 「それ以上鍛えたら脳みそまで筋肉になりますよ」 順也の筋肉を見つめながら琢磨はつっこむ。 「なってるんじゃないか? 節佐先輩の場合」 そう言って修は意地悪っぽく笑った。 「るせぇ」 柄にもなく修はすねる。 デカイ図体がすねると少しウザイものである。 「うおぉぉん!」 突如、鬼のような形相で薄先生は泣き叫んだ。 首がピンと伸び血管がビクビクなっている。 「うほっ! ビビった!」 驚いた琢磨はそのまま尻餅をついてしまった。 「いきなり泣くなよな! おっさん!」 文句を言いながら順也は尻餅をついた琢磨を引き上げる。 「猛獣が襲来したかと思ったぜ!」 耳をトントンと叩きながら困った顔をして修は言う。 「俺は! 俺は今猛烈に感動してる!」 顔を真っ赤にし薄先生は号泣している。 「勝手にしてろ」 呆れて修は大きなため息をついた。 「暑苦しいわい」 わざとらしく順也はパタパタと手で仰ぐ。 「ウザイ」 尻餅ついたお尻を琢磨は摩っている。 三人は思い思いに文句を言う。 「貴様ら切磋琢磨に生きているんだな!」 叫びながら薄先生はゴシゴシと涙を拭く。
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