切磋琢磨な実情。

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「当たらずとも遠からずだな」 腕組みをしてうんうんと修は頷く。 「石の上にも三年ですよ」 意味深に琢磨は言う。 「俺達なりにもやる事はあるからな」 順也はフンッと鼻息を荒くした。 「人生息気に感じずだな! うぉぉん!」 雄叫びをあげながら薄先生は泣きつづける。 「だ・か・ら、やかましいわい!」 耳を押さえながら修は言う。 「どういう意味だ?」 薄先生の言っている意味がわからず、順也は首を傾げた。 「ぽちっ」 修は徐に琢磨の頭にあるぐりぐりを押した。 「人間は利害や打算で動くのではなく、相手の心意気に感じて動くもの」 反射的に琢磨は説明する。 「成る程~」 手をポンッと叩き順也は納得する。 「さすが歩く辞書だな」 琢磨の反応に修は感心している。 「もしもし? 人で遊ばないでくれます?」 漸く遊ばれた事に気づき琢磨は露骨に嫌そうな顔をした。 「わりぃわりぃ」 苦笑いしながら修は頭をかいた。 「……って事は掃除しなくていいわけだろ?」 勝ち誇ったように順也は言う。 「だよな~。 心意気で動くんだもんな~」 ニタニタしながら修も便乗する。 「(先輩達はこういう知恵は働くんだな)」 二人の反応に琢磨は内心呆れている。 「ノンノンノン」 いつの間にか復活した薄先生は右手の人差し指を左右に降り格好つけている。 「……ぶっ飛ばしていい?」 何故か順也は琢磨に了承を得ようとしている。 「こんないい加減な人でも先生だからやめたほうがいいですよ」 当然琢磨は止める。 「さらっと酷いな」 珍しく修がつっこむ。 「こほん。 いいかい、諸君。 大掃除……つまり煤払いはだな、今年の汚れを今年のうちに綺麗にして心機一転させる意味もあるんだよ」 咳ばらいを一つして薄先生は真面目に言う。 「腹減った~」 「俺も」 「後で何か食べに行きましょう」 三人は思い思いに言いたい事を言っている。 薄先生の話なんかてんで聞いていない。 「聞けい!」 思わずつっこむ薄先生。
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