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***
「……ん。
夢……?」
とある神社の一室。
信彦の自室。
今まで学校にいたはずの信彦は自室で目覚めた。
「(そうだよな。
じゃなきゃ、二人いっぺんに絞殺するなんて俺の力じゃ無理だからな……)」
信彦は先程までの出来事は夢であった事にホッとしていた。
「ふぁ~……。
どうしたの、信ちゃん?」
信彦の隣で寝ていた幼なじみ兼彼女の如月 あやめ(きさらぎ あやめ)は目を覚ました。
「いや、変な夢みちゃったんだ……」
寝汗でびしょびしょになった頭を信彦はぐしゃぐしゃとかいた。
「また?
最近よく見るよね」
ふわふわの髪を手ぐしでとかしながら、あやめは背伸びした。
「正夢にならなきゃいいが……」
夢とは思えない妙な感覚に信彦は鳥肌が立った。
「さすが霊能力者」
信彦の気持ちとは裏腹にあやめはからかう。
「からかってんのか?」
からかわれた信彦は少しムッとした。
「まさか」
そう言ってあやめは徐に一冊の本をとった。
「!?
その本は……」
信彦は見覚えのある本を凝視した。
「これ?
『歴史上人物の心理テスト』だってさ」
凝視する信彦に手に持っていた本を手渡した。
「…………」
信彦は硬直した。
夢で見たあの本と同じだった。
もしあの夢が正夢なら自分はとんでもない過ちを犯してしまう。
そう考えると信彦はゾッとした。
ホーホケキョ……。
タイミングよく窓の外からホトトギスの鳴き声が一声聞こえてきた。
「あら?
ホトトギスが鳴いてるわね」
ホトトギスの鳴き声を聞いてあやめは言う。
そして穏やかに笑った。
「……そうだな」
信彦は小さくそう答え窓の外を見た。
外から一羽のホトトギスがジッとこちらをみていた。
まるで何かを訴えかけるかのように……。
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