日常

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だけど、現実は甘くない。 いや、甘くないって思うほどの努力もしていないんだけど…。 ふと、電車の窓ガラスに映る私が目に入る。 ボサボサの髪に地味な色のパーカーを羽織り、年季の入った安物のジーンズ。 くたびれた鞄にボロボロのスニーカー。 化粧の剥がれた顔には、疲れと歳が滲み出てる。 夢を語れる歳はいつの間にか過ぎており、漫画やゲームの主人公は年下ばかり。 周りの話題は、結婚や子育て、親の介護。 それを愛想よく微笑み、適度に相槌を打ち、質問する。 内心はうんざりしていた。 そんな会話に混ざるたびに、私の心は枯れていく。 だけど、彼女らはキラキラとした顔で悩みを自慢する。 言葉の端に勝ち組だという優越感が入っている。 適齢で結婚し、子供を産み、家庭を築いたと。 それに比べてと、私を見る、その表情。 羨ましいでしょ、と 自分はあなたの先を歩いてるのよ、と。
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