過去に

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布団から転がっていて寒そうにネコみたいに丸まっている。頭をやさしく撫でたあと布団に戻して毛布をかけ直す 自分の部屋に戻るとさっき「兄貴」と呼んできた男のことを考える 髪型や身長は違っていたが目元や容姿が今の界そっくりだった まさかな…… そんなことを考えてるうちに、いつの間にか眠っていた 眠っている間夢は見なかった 布団で寝なかったからか首が寝違えたように痛い 時計の針はすでに7時30分を指していた 慌てて下に降りると何かに躓いたのかコケた コケた理由は昨日の男、界が朝食を作って座っているから 界はすぐ駆け寄った 「どうやって入った!?」 裕の声はちょっと荒っぽかった 「鍵はいつもポストに入れてたから。」 「お前、もしかして。」 界のことを理解したかのように立ち上がり、受話器を取りどこかに電話をかける 「もしもし。警察ですか。ストーカーが…。」 受話器を奪い取り電話を切った 全然わかってない 「俺弟なんだけど。」 「あのな。」 「親は交通事故で両方死亡。叔父と叔母の支援のおかげで生活できてる。大切なものは物置小屋の箱にしまってあって、弟想いのやさしい兄貴。」 裕は何も言わずまた受話器を取ろうとする 「この家に強盗がきたとき俺をかばって背中に傷がついた。」 背中の傷のことは近所の人とかは知っているしかばったことも。なのにどこか… 「本当に界なのか。」 「そうだよ。」 信じられない。自分より年上の弟なんて。界と背を比べると7cmも違う
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