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リビングを過ぎた廊下の左がWCなのですが、リビングは真っ暗。
昨日金曜プレミアで観た「リング」の貞子に、強いトラウマを植え付けられたトニ男君は、
暗い場所と水が滴る音が苦手です。
おしっこをチビりそうになったトニ男君は恐る恐るリビングの照明を付けました。
……すると、
上下黒い服を着て風呂敷を背負う知らないおじさんがいました。
知らないおじさんはペプシコーラ片手にクリスマスツリーを置いてある居間のタンスの前に立っていました。
知らないおじさんは突然明るくなったことでとても驚いています。
知らないおじさんはすぐにトニ男君がいることに気付きました。
そして知らないおじさんは、トニ男君に優しい声で語り掛けました。
「ぼ、坊や。……やあ、私が……サンタさんです」
トニ男君はルーク・スカイウォーカーの様に即答しました。
「嘘だあああ!!」
おじサンタはトニ男君の口を塞ぎ言いました。
「声が大きいぃ! 声が大きいぃ! ぼうや、声が大きいぃ!」
トニ男君は手を払って言いました。
「何で黒なの? サンタさんは赤い服を着てるんじゃないの?」
黒サンタは言いました。
「……知らないの?坊や。今年から赤じゃなくて黒になったんだよ?」
「へぇ~。赤から黒に衣替え、国民健康保険☆! 今年は、黒! …て言いたいの?」
トニ男君の裏表激しい言語に黒サンは恐怖を感じました。
トニ男君は更に質問しました。
「じゃあね、じゃあね、何でおじさんなの? サンタさんておじいさんでしょ?」
「坊や、知らないの? 君がTVやポスターでよく目にするおじいさんは、今年の頭に現役引退を発表したんだよ」
我ながらファインセーフと思った黒サンは調子に乗って付け足しました。
「それはそれは惜しまれたよ。清原ぐらいにね、て言ってもわからんか。俺も檻の中で悔しがってたなぁ」
トニ男君が食いつきました。「檻の中?」
「あ!? いや、檻の中ってのは…サンタの学校のことさっ。高い壁に囲まれてて…何だか…」
「ムショのこと?」
サラリと言ってのけたトニ男君に黒サンは物言えぬ違和感を覚えました。
トニ男君はまた尋ねました。
「それじゃあ、何で片手にペプシなの? サンタつったらコカだろ?」
黒サンは口調が変わったトニ男君の実年齢が見た目よりも遥かに上なのでは無いかと疑いました。
「世の中コーラだけじゃないよ坊や。刑期を終えたサンタは皆、ラブジュースを求めるもんさ」
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