データファイル No.001 -上杉 真野-

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 朝、目が覚めて僕は冷静になった頭で思った。いくら素性を調べると言っても、僕の情報は、中学校の名前とハンドルネーム、そしてメールアドレスだ。でも、メールアドレスだってフリーの物を使っているし、情報もそんなに入れてる方じゃない。ともすれば、ネット上で調べられることなんてたかが知れてるじゃないか。  何を怖がっていたんだろうか、あんなの口から出任せで、人を怖がらせて楽しんでいるだけなんだ。信じた僕が馬鹿だったんだ……あのリクっていう奴も、あいつ等と一緒で、人が困ってるのが好きなんだ。そうに違いない。 「……学校、行かなきゃ」  思いため息が出る。行きたくないけど、行かなきゃいけない。僕は、仕方なくベッドから起き上がる。  ふと、パソコンが視界に入ったけど触れる気分にはならなくて、僕は部屋を後にした。
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