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「基地が、ある!?」
もしかすると、自分以外にも飛ばされてきた者がいる可能性がある。先程のベクトル隊のように、アキ達も飛ばされたとしたら、合流できるかも知れない。そう考えたクロムは俄然元気が出てきた。
――よし、とりあえずは基地に帰還しよう。補給を受けないと…
そしてクロムは後部スペースのリーナ達を思い出した。
――そうだ、国境まで送る約束をしてたっけ
しかし、テノールから聞いた感じでは、国境から基地までの往復の燃料が保ちそうに無かった。
――…一緒に連れていくか…?
部外者を基地に入れるのはどうかと思ったが、ここは異世界で、今は緊急時だ。多少の無茶は通るだろうと、そうクロムは結論づけた。
リーナ達へクロムは顔を向け、話しかけた。
「リーナさん」
「はい、なんでしょう?」
「申し訳ありませんが、我々の軍の本拠地まで来て貰えませんか?」
「というと、あなたの属している国…アストラニアの?」
「はい、そうです。まだこの草原よりは安全かと…」
そこでリーナは少しだけバス達の方へ向き、すぐに振り返った。
「分かりました。構いません」
断られる事を予想していたクロムはほっと胸をなで下ろした。
「ありがとうございます」
そう礼を言ってクロムは装甲車のエンジンを始動する。
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