第6章》ドラゴンナイト

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―カルヴァン城内―  城内は、けばけばしい輝きに満ちていた。カルヴァン城は全体的に青みがかかった外観と、銀や木材を最大限に使ったこれも青を基調とした落ち着いた内装で晩餐会の際、諸外国の客人達には人気であった。今では、調度品の類はほとんど持ち出され、帝国式の物に置き換えられていた。帝国の調度品は赤を基調とし、金細工や宝石を多用して豪華さを演出している。帝国の赤を基調とした城になら映えただろうが、青い城に赤い家具を置くと目に痛い。  それらの調度品を横目で眺めながら、元カルヴァン公国駐在帝国大使、フラスタ・ジェイは憂鬱な気分で歩いていた。彼は今、帝国領カルヴァン地方を任されていた。  ――酷いな…帝国の調度品とここの城は合わんのに…  彼は、帝国の調度品によく見られる金や宝石をふんだんに使用した過度な装飾を嫌っている。では、何故わざわざ調和のとれない帝国調度品を置いたかというと、それにはフラスタには如何ともし難い理由があった。
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