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――本国からの指示だからって、ここまでしなくても…
要は上からの命令である。本国から派遣されてきた彼の目付役が、全てを入れ替えてしまったのだ。
調和のとれてないものが、フラスタは嫌いだった。そんな事を考えているときに、一人の兵士が鎧を鳴らしながら走り寄ってきた。服装からしてワイバーンナイトだ。
「…どうした?」
「はっ、報告します!」
帝国式の敬礼をしてから、ワイバーンナイトは話し始める。
「カルヴァン王の娘の一行を、国境付近の草原で発見しました!」
「なんと」
ワイバーンナイトの一人はリーナ達を発見してすぐに城へ引き返し、報告をしに行った。それによって戦闘機に撃墜されなかったのは彼にとって幸運と言えただろう。
「あぁ、あの嬢ちゃんもついに殺されたのか…」
ワイバーンナイトに襲われては、数少ない地上の兵ではひとたまりもない。晩餐会で各国の客人に挨拶をしていたリーナの顔を思い出す。
「素直ないい子だったのにな…」
フラスタはカルヴァンを侵略するのは乗り気では無かった。仲の良くなった知り合いもいたのだ。
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