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「くっそ、今度はどこがいかれやがった!?」
装甲車はエンストしていた。エンジンの様子をマニュアル片手に見ているクロムの背後から声がかけられる。
「直りそうですか?」
リーナが心配そうに覗き込む。
「あぁ、直りますよ。配線が外れてたみたいです」
プラグをしっかりと差し直すクロム。何かの拍子に抜けてしまっていたようだ。
「『はいせん』…?分かりませんが…良かった、動くんですね…」
そう言って心配そうにカルヴァン城の方を見やる。追っ手を心配しているのだろう。
「まぁ、あともう少しで基地に着きますから…ん、よし!」
ガルン!とエンジンがかかるのを確認し、クロムは顔を上げた。途中から修理の様子を観察していたルルゥが不思議そうにエンジンを眺めている。
「どうやったらこんなもので、鉄の塊が動くんだろう…」
「俺も詳しくは知らないよ。まぁ、色んな部品が組み合わさって動いてるとしか…」
「ふぅん、馬と違ってバテないけど、壊れたら絶対に動かない…一長一短ねぇ」
「俺のいた国じゃすぐ修理できたからな…コイツにはまだまだ頑張って貰わないと…」
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