第6章》ドラゴンナイト

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 【ワイバーンナイト】は、飛竜、つまりワイバーン等の下級の竜に乗る兵士の事だ。飛竜は知能が低く、手懐けやすいので大量に人員を補充できる。その代わり、能力はドラゴンナイトに劣る。  【ドラゴンナイト】は、その逆。上級龍種は手懐け難いが、強力なのである。その鱗は生半可な武器では傷一つつけることはできず、口からは鋼鉄をも溶かす火炎弾を放つ。  カルヴァンという辺境の地にはいるはずもない兵種が、今クロム達を追っていた。 「…そりゃやばいな」  装甲車に積んである砲弾に引火したら、まず助からない。そもそも、火炎弾の炎で、装甲車を溶かされてしまうかもしれない。火炎弾の命中はなんとしてでも避けないといけない。  今の状況は、中々に悪かった。攻撃ヘリに追われているようなものだ。クロムにも焦りが生まれた。 「テノール、上部ハッチから龍騎兵を見張ってくれ!火炎弾を撃ってきたらどこを狙われたかも詳細に伝えろ!」 「は、はい!!」  慌ててハッチから顔を出すテノール。クロムは次にルルゥに声をかける。 「ルルゥ!」 「う、うん!?」 「俺の運転を見て装甲車の動かし方を覚えてくれ!」 「なんで!?あなたがやればいいんじゃ!?」 「このままじゃやられる!俺が機銃を使って奴をひるませる!いいから取りあえず覚えろ!ここが加速、ここが停止、んでここが」 「火炎弾!」 「……!!!」  大きく真横にスライドする装甲車。火炎弾は何もない所に直撃し、爆発した。
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