第6章》ドラゴンナイト

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「テノール!方向も伝えろっつたろ!」 「ひぃい!すいません!」 「ったく!…で!コレを回した方向に曲がる!分かったか?…右方向に火炎弾!」  装甲車は辛くも回避に成功する。 「じゃ、そう言うことで任せた!」 「あ、ちょっと!」  ハンドルをルルゥに任せ、クロムはテノールの横にあるもう一つのハッチから顔を出した。  目の前一杯にドラゴンの鱗が広がっていた。クロムはドラゴンと目が合ってしまう。その存在感とクロムの常識からくる拒否感は彼を一瞬硬直させた。  ドラゴンが大きく口を開けた。口の中が徐々に明るくなり、火炎弾が生成されていく。 「……ぅおっ!!」  我に返ったクロムは慌てて機関銃の銃把を握り、ドラゴンの口内に機関銃弾を叩き込んだ。  ギンギンギンギンギン!と、削岩機のような音が響き発射された弾丸は、丁度ドラゴンの口から発射された火炎弾に吸い込まれていった。  火炎弾が破壊され、轟音をたてて爆発した。ドラゴンは思ってもみない至近からの爆発に驚き、身を捩りながら装甲車から離れていった。ドラゴンの背にしがみつく人間が何か言っていたが、ドラゴンは逃げに入っている。悲鳴をあげてみるみるうちに離れてゆくドラゴンナイト。  それを見届けたクロムは詰めてていた息を一気に吐き出すと、テノールの肩を叩き、車内に戻った。
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