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「ルルゥ、もういいぞ。お疲れ」
「し…死ぬかと…」
一旦停車して、クロムは運転を交代した。
――今考えると、走りながら運転を代わって、よく横転しなかったもんだ
そっちの方向でも危険だった事を考えると、再びクロムは背筋が寒くなった。
「そう言えばバスさん、あのドラゴンナイトとかいうのは一体どれほどの数がいるんです?」
「………」
「…バス団長?」
返事が無いことに怪訝な顔をしたクロムは、ちらりと後ろを振り返った。
「……………うぷ」
「バス、しっかりして下さい!」
「め…面目次第もありませぬ…」
バスはリーナの介抱を受けながら、後部スペースでぐったりしていた。…そう。車酔いである。
「…意外すぎる」
「うぅっぷ…」
バスの背中をさすりながら心配そうにリーナが尋ねる。
「しっかりして下さい!」
「なぜだ…馬は平気な筈なのに…うっ」
そんな光景を横目で見ながらクロムはテノールとルルゥに話しかける。
「テノールはこれからも上空の監視を続けてくれ」
「はい」
「ルルゥはまたあんなのが来たら運転を交代してくれ。操作は分かったろ?」
「え…またやるの?」
「いや、最悪の場合はだからな?」
「あぁ…うん、分かった」
――基地まであと少しだ。またあんなのに来られたらヤバい。さっさと移動するか…
そう考えたクロムはアクセルを踏み込む。装甲車はエンジン音を轟かせ発進した。
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