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「ちっ、敵も学んだな…」
クロムは本日二度目の冷や汗をかいていた。再び狙われている状況だ。しかも今度は相手も油断していない。
このままでは、いつか火炎弾が命中する。機銃は射程が足りない。空軍の援護も、おそらく補給中のため期待できない。万事休すだ。
――どうする!?
そんな時、運転席からルルゥが叫んだ。
「クロムさん!もうすぐ遺跡地帯に入るよ!」
「い、遺跡!?」
「これ、交代してくれない?道が入り組んでるから」
――遺跡か…遺跡の物陰に隠れてやり過ごせるかも知れないな。
「…ルルゥ、その遺跡って背の高い建物や中に隠れられそうなものはあるか!?」
ルルゥは少し考えて言った。
「うん!物凄くでっかいのが沢山!」
「よし!運転代われ!テノール!案内頼む!」
既にハッチを閉じてガタガタ震えていたテノールは慌てて返事をする。
「はっ…はひっ!」
装甲車の外から爆発音が聞こえてくる。弾着を修正しているのか、徐々に爆音が近くなってくる。命中するのは時間の問題だった。
「よし…行くぞ!」
砂を巻き上げながら、装甲車は急カーブをかける。その近くを、火炎弾がかすめ飛んでいった。
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