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シュライトの放った火炎弾は、地面に接すると同時に炸裂し、大地を穿った。
「うっ!」
目の前で炎が燃え上がり、慌ててハンドルをきる。次の瞬間、装甲車がいきなり横転した。
火炎弾が穿った穴に片側の車輪が突っ込んだのだ。激しい衝撃と共に、クロムは装甲車の壁に叩きつけられた。装甲車は舗装された道の上を火花を散らしながら滑り、やがて止まった。周囲には土煙が立ち込め、エンジンのアイドリング音が聞こえてくる。
クロムは体を打ち付けた痛みを堪えながら同乗者の安否を確認していく。
「皆、大丈夫か!?」
「うん…大丈夫!」
「私も平気です!」
「や…やっと止まったか…おえっ」
全員の無事を確かめ、クロムは言った。
「ここにいたらいい的だ。装甲車から降りるぞ!」
そう言って後部ドアを開く。少し軋む音をたてながら、ドアは開いた。
リーナ達が次々と飛び出してゆく。クロム自身はサブマシンガンと持てるだけの物を持って外に出た。
「…なんだここは!?」
先程は慌てていて周囲を見ていなかったが、改めて見回してみると、そこには意外な光景が広がっていた。
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