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草や木々が生い茂り、半ば崩壊しかかっていたが、それは明らかにビルディングの形をしていた。
その建物のガラスは無くなっているが、元は扉だったであろう場所の奥に受付カウンターのような物が見える。扉の近くには乗用車の残骸が転がっていた。
「なんだ…ここは…」
異世界にいるはずなのにこれは一体どういう事だろうか。しかし今はそれどころでは無い。クロムはそのビルの入口に立ち、リーナ達に手を振った。
「こっちだ!この中に隠れよう!」
「は、はい!」
クロムはもう一度上空を仰ぎ見てドラゴンナイトが居なくなった事を確認すると、その建物に逃げ込んだ。
「取り合えずは振り切ったみたいだな」
「た…助かった…」
「ドラゴンナイトから逃げ切れるなんて…奇跡だ…」
そう言って思い思いの場所に座り込む面々。受付カウンターに座ってサブマシンガンの残弾を確認するクロム。残弾はマガジン3本。それほど残っていない。
「節約して撃たないと…」
そう考えながら再装填する。小さな金属音と共に初弾が薬室に装填された。
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