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「うぅむ…」
そう唸り外を見つめるクロム。緑に覆われていてもクロムがよく知る文明の面影がそこにはあった。
――待てよ、警備会社にドロイドを導入しているところはなかったはず…鉄人ってまさか軍のドロイド兵か?でも、あいつら相当弱いぞ…?
クロムの記憶が正しければドロイド兵はひょろっとした骨のような…某宇宙の騎士が光の剣を振り回すSF映画に出てくるような…見た目をしていて、力も弱く、車酔いで転がっているバスでも叩き潰せるだろう。
「…あんなのにお前ら負けたの?」
「知ってるの?」
「いや、違うかな?」
「はっきりしなよ」
「実物を見ないことにははっきりしないからなぁ…」
その時、建物の外から男の悲鳴が聞こえてきた。
「!?…なんだ?」
クロムはそう言って扉の陰から外を見た。後ろからルルゥも顔をのぞかせる。
表には、道路が広がっている。元は自動車用の道路だったのだろうが、今は草が生い茂り、所々アスファルトが見えるといった有り様になっている。その上を、騎馬にのった風体の悪い男達が駆けていた。青い布で顔を覆っていて、手に弓矢や剣を持っている。
「盗賊だわ」
「なんで分かる?」
「最近、カルヴァン国内を荒らし回っている盗賊団の連中よ。青い覆面がトレードマークらしいの」
「と言うことは、盗みの後か?」
「多分」
クロム達がそんな事を話している内に、盗賊の弓矢持ちが背後に矢を射た。
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