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クロムは大声でリーナ達に呼びかける。
「建物の中で隠れて待っていてくれ! 上の様子を見てくる!」
バスは遠くの空を見上げて言った。
「もう余り時間が無いぞ!」
「すぐ戻る!」
そう叫んでクロムはミサイルの発射煙が見えるビルへと走っていった。
断続的な爆発音が聞こえ、敵の接近を伝える。クロムは外付けの非常階段を見つけ、そこから上へ上がろうとした。
クロムが段を一段上がる度に、軋んだ音をたてる階段。長い年月雨風に曝され続け、錆び付いてしまっていたのだ。クロムは少し躊躇ったが、構わず駆け上がり始める。
屋上にもし1人でも誰かいれば、状況を知ることができるかも知れない。敵かも知れないがその時はその時だ。
「どうか味方でありますように…」
ただでさえ銃の弾薬が残り少ないのだ。無駄な発砲は控えたいところ…そう考えながら、クロムは屋上に上がる1つ前の踊場で立ち止まりサブマシンガンを構えた。そのまま息を詰め、階段を一気に駆け上がる。
屋上の柵から様子が見えるようになった瞬間、銃口を左右に振って敵の有無を確認する。
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