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ドラゴンが怯む程度しかしていないのを見て、更にいらついたクロム。おそらく後少しで地上に兵士を降ろしてしまうだろう。もうそれは間違いなかった。
「なんとかならないか…」
役立つ物はないかと周囲を見回すクロム。その視界に長方形の箱が飛び込んで来た。
オリーブドラブに塗られたトランクのようなそれの上蓋の中央には、クロムの国、アストラニアの国旗のマークが刻印されていた。更によく見ると、日光や雨風に晒されて色あせていたが、陸軍のステッカーが貼ってある。武器を入れるケースなのだろうか?
――うちの軍は銃火器とかは木箱にワラを敷き詰めたやつで運んでたはず…
クロムはそれなりにある軍歴の中で、こんな武器ケースは見たことが無かった。見た目がSF映画に出てきそうな形をしており、クロムの違和感を逆なでする。
ふと周囲のミサイルユニットを見回してみると、どこかにはアストラニア軍の刻印が見える。細部の形が変わっていたが、全ての兵器には元の世界の同タイプの兵器の面影があった。
「取り敢えず…これは味方の兵器だったのか…分かったところでだが…」
そう言ってため息をもらしながらオリーブドラブ色のケースに近づくクロム。彼はケースの前にかがみ込むと、ケースを開けるためのスイッチを探し始めた。
――今は強力な武器が少しでも欲しいんだ…多少怪しかろうがやってやる!
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