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発砲音、それどころか反動も無かった。
しかし、銃口がまばゆく光り、同時に竜の鱗が溶け、内部の肉を焼いた。ドラゴンが悲鳴をあげて兵士達の入っていた箱を落としてしまう。高度を下げていたとはいえ、五階くらいの高さから落とされた兵士達は、助かる筈も無かった。
クロムは呆然として飛び去ってゆくドラゴンを見つめた。その後、手に持っているライフルを見つめる。
「なんだこれ…?」
レーザーだったのだろう。軍の兵器開発廠で研究されていたという話をクロムは聞いていたが、実用化したという話は、軍艦のミサイル迎撃兵器位しか聞いていなかった。
「…まぁいいや、取り敢えず戻るか」
そう言って非常階段を駆け戻ろうとして、立ち止まると一旦引き返し、いくつかの使えそうな物を拾うと今度こそ階段を降り始めた。
途中何段か踏み抜いてしまいながらもなんとか地上に到達したクロムはすぐに準備を開始する。懐から取り出したのは軍用の爆薬だ。
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