第0章》プロローグ

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同刻 アルハン郊外 防空センター  首都アルハンにはあまり目立たないところに防空センターがある。施設はコンクリートのドームで覆われており、敵の爆撃に耐えられる構造になっていた。  最後の国内での戦いは、もう十年以上も前の話である。当時攻めて来た国とはもう友好条約があるので、今のところ敵と呼べるものはいない。 敵が攻めてくる恐れは全く無く、今日が祭日であることもあって、施設内には弛緩した空気が漂っていた。施設の職員も3分の1程の人間が祭りを楽しみに行っている。レーダーの観測員は暇そうに大きなあくびをした。 「ふあぁ…あぁ、畜生…今日が当番とかツイてないな…」  さすがにレーダー関係の人間はシフトから外れることはできなかったようだ。  異変には、モニタの前に座ってコーヒーをのんでいた士官が最初にそれに気付いた。
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