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「いや…連中の中には亜人種もいるからな…あの高さだと、越えられるかも知れん」
聞き慣れない単語にクロムは聞き返した。
「亜人?」
「獣人等の人の形をとりながら人ならざる者達の総称だ。…獣人は、分かるか?お前の世界にもいたか?」
「いや…空想の存在だよ」
「あっ!上に敵が!」
テノールが上を指差しながら叫ぶ。クロムも上を向いた瞬間、上から敵が飛びかかってきた。クロムの上にのしかかり、得物を振り下ろそうとする。
一瞬のことで、声を出すことすらかなわなかった。クロムが死を覚悟した時、上にいた敵の首が飛ばされた。噴き出した血がクロムの顔にびしゃりとかかる。
「お…おぉ?」
「ぼやっとするな!」
敵の首を切りとばしたバスが斧を片手に怒鳴る。
「すまん!」
そう言うとクロムは起き上がり、更に降りてきた敵に屋上で拾ったアサルトライフルの通常弾を単連射する。安定した射撃では無かったが、敵は密集していたため、次々と命中した。血を撒き散らしながら倒れてゆく敵兵。改めて敵の顔を見たクロムは仰天した。
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