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廃墟群近くの帝国軍のテントから、野太い男の罵声が聞こえてくる。
「何ぃ!逃がしただぁ!?」
顔が般若のようになっている指揮官の前で、現場指揮官らしきリザードマンが直立不動の姿勢で答えた。
「申し訳ございません!敵の乗り物に、予想以上の力がありまして…馬もいない馬車が動く訳が無いと思っており、油断しました!」
「貴様それでも帝国軍人なのか!?柔軟に対処せんか!」
「申し訳ございません!次こそは必ず…!」
平謝りに溜飲を下げた指揮官は、顎髭をいじりながら言った。
「はぁ…まぁいい、お前達亜人に任せたのが間違いだった。奴らの居場所は大体分かる。竜送兵に先回りさせろ。監督官殿の命令で、聖剣は必ず確保せねばならん!」
「はっ!…しかし、居場所が分かるというのは?」
首を傾げる現場指揮官に指揮官は忌々しげに言った。
「奴らに追跡をつけた。…恐らくは世界最強の人間をな。気にくわない奴ではあるが、払った金の分は働く奴だ」
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