第7章》古代廃墟の戦い

27/54
前へ
/627ページ
次へ
 それを見届けてから、クロムはバケツの水を装甲車にかけてゆく。そして、ヘッドライトと窓の防弾ガラスに付いた血を拭いた。  リーナとルルゥは黙ったままだ。仲間を目の前で失ったのがよほどショックだったのだろう。  この光景をクロムは見たことがあった。国連の要請でとある国の内戦を沈静化させる為に派兵された際、戦死者が出たときのことだ。皆が悲観的になり、次々と仲間が死んでいった。  ――この空気で戦闘になると、また誰かがやられてしまうかも知れない。  クロムはみたびダメ元で装甲車の無線を起動する。 「こちら陸軍のクロム・アルシティ少尉。誰か応答せよ、繰り返す、応答せよ……はぁ…出るわけないか……」
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8296人が本棚に入れています
本棚に追加