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突如モニタに赤い輝点が無数に表示された。数は30ほどだったが、その数は次々と増えていた。それらの輝点は首都アルハンに接近していく。軍に新しく配備された人工知能による防空網は、敵が国境線に触れた時点で警報を出すはずなのだが…
モニタの輝点を見た士官が驚いて叫んだ。
「お、おい、首都近くの空に国籍不明機がいるぞ!」
騒然となる防空センター。
「故障じゃないのか!?」
「戦闘機をスクランブル発進させろ!」
「国境の防空レーダーはどうなってるんだ!?」
「大軍だぞ!どうして気付かなかったんだ!?」
防空センターから命令を受け首都から少し離れた空港から戦闘機が離陸した。しかし、距離と速度を考えると、間に合わない。士官の1人が言った。
「首都の防衛部隊に連絡しろ!」
「やってる!」
しかし、本部に連絡が行くことは無かった。無線機からは雑音が響くばかりで、使い物にならなかったのである。
「ジャミング…?」
呆然としたように、士官は呟いた。
「間に合わない…」
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