8296人が本棚に入れています
本棚に追加
「恐らく、敵…帝国は、私の持つこの聖剣を狙っているのだと思います」
そう言って傍らに置いてあった剣をリーナは持ち上げて見せた。
「はぁ…この剣を…?」
「そうです」
聖剣と呼ばれた剣は全体的に細身の剣で、ガードの部分に施された蔦をモチーフにしたと思われるレリーフや、派手にならない程度にちりばめられた宝石の姿を見ると、剣や骨董に縁の無いクロムでも、国宝級なんだろうと感じることができた。しかし、それでもである。
「国宝程度にあんな大軍を出すもんですかね?この世界の国宝の価値は知りませんけど…」
「いえ…価値というか…」
と言いよどむリーナに代わり、ルルゥが続けた。
「えっとね、あなたには信じられない事かも知れないけれど…」
そこで一拍いれ、言った。
「リーナ様の聖剣には、聖なる力が宿っていて、魔王の封印の鍵なの」
最初のコメントを投稿しよう!