第7章》古代廃墟の戦い

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 唖然としたシュライトは呟く。 「どうなってんだこりゃ…」 「どうしますか!?」  羽ばたきにかき消されないように大声でたずねてくる竜送兵にシュライトは指示を出した。 「一旦戻れ!そして状況を本陣に報告して指示を仰げ!」 「はっ!」  帝国式の敬礼をしてから飛び去ってゆく竜送兵を見送り、シュライトは地上に視線を落とした。装甲車を追う人の姿があった。馬では追いつけないと判断したのだろう。 「本当に奴は常識の外を行ってんなぁ…馬の方が遅いって何だよ…」  シュライトは近くにあったビルの屋上へと降り立ち、ワイバーンを撫でる。満足げなワイバーンを撫でながら、彼はこれから起こるであろう戦いを見物するつもりだった。  ――あの黒い奴らのことは気になるが、今は聖剣の奪取が任務だ…結果は見届けておかないとな… 「バリア発動、で、プロテクト発動、と」  とりあえずの対策で、屋上へ続く外付けの非常階段に、魔法障壁を張り封鎖する。更に自身にも防御魔法を張りガードを固めた。そして、今度は望遠の魔法を使う。 「ホークアイ、発動」  シュライトが呪文を唱えると、視界が狭まり遠くの物が大きく見えるようになった。シュライトは帝国式魔法の万能タイプの魔術師で、その才能を遺憾なく発揮した。 「さて、『勇者』のお手並み拝見といきますか…」 ・
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