第7章》古代廃墟の戦い

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「ん?なんだあの煙」  廃墟に接近するのにつれて、クロムにも黒い煙が立ち上るのが見えてきた。火災の煙にしては焦げ臭くない。 「誰か居るのかな?」 「盗賊や帝国の輩でしょうか…?」  ルルゥとリーナが心配そうに顔を見合わせる中、上部ハッチから外を監視していたテノールが運転席のクロムへ呼びかけた。 「クロムさん、後ろから凄い勢いで人が走ってきています!」 「はい!?」  仰天したクロムは車体後部に取り付けられたカメラで後方を確認する。よそ見運転をしていて危険極まりない行為だったが、直線道を走っていたのであまり問題にならなかった。 「あ?」  カメラには、とんでもないモノが写っていた。地面をえぐり取るように、人が凄まじいスピードで大地を疾走していた。徐々にだが確実に装甲車へ接近してくる。最大に近い速度の装甲車にだ。 「なんだアイツは!?ターミネーターか!?」 「あいつは…まさか『勇者』!?」 「勇者!?」 「そう!最強の戦士とまで言われる化け物みたいな奴です!」 「止まって話でも聞いてみるか?『勇者』って位だから正義の味方なんだろう?」  そうクロムが言うとテノールは困ったような顔をする。 「いや…話が通じる相手とは思えないんですが…」  その時、カメラに映る『勇者』が右手に握った剣を大きく振りかぶった。それに気付いたクロムが 「ん?なんだ――」  と言葉を発しきる前に、剣の残像をのこして『勇者』が剣を振り抜いた。
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