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そう言って舌打ちしつつもルルゥは『勇者』を指さし次の呪文を詠唱する。
「ファイアボール!」
そう唱えると、再び火球が『勇者』に向け勢いよく飛んでいった。しかし、敵は軽く剣で火の玉を薙いだ。案の定一撃で消滅し、魔法は打ち消されてしまった。
「やっぱり魔法じゃ埒があかないよ!クロムの銃で何とかできない!?」
「じゃあ運転を変わってくれ!直進だからアクセルを踏み込んでハンドルで微調整してくれるだけでいい!」
「アクセルとか言われても分かんないよ!さっきやったから何となく分かるけど!」
そう言ってルルゥはクロムと運転席を交替した。車両がスリップしそうになったが何とかこらえ、クロムは上部ハッチを開け、機関銃にとりついた。車内から遠隔操作もできるのだが、メンテナンス不足で、森を脱出したときから壊れてしまっていたのだ。
機関銃の残弾を確認したクロムは、銃口を勇者に向けると、ためらい無く引き金を引いた。
ガガガガガガッ!と、削岩機のような荒々しい発砲音と共に、追っ手に機銃弾が襲いかかった。
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