第7章》古代廃墟の戦い

43/54
前へ
/627ページ
次へ
「ん?なんだアイツ?」  装甲車を後方から追跡して攻撃を加えていた『勇者』…スターム・アルフレドは、装甲車の上部にクロムが出てくるのに気がついた。呪文を詠唱するでも無く、なにやら謎の黒い塊を弄くっている。  ――妙な服装の奴だな…  と、攻撃するか迷っている間に、その男はこちらにさっきまでいじっていた黒い何かを向けた。途端に感じる殺気。 「あん!?」  反射的に背中に差していたもう一つの剣も抜き、自分の前に掲げる。その瞬間、黒い塊が火を吹いた。  掲げていた剣に来る激しい衝撃に走るバランスを崩しよろめいて転んだ隙に、瞬く間に置いて行かれてしまった。 「何だ、今のは…」  また荷車を追い始めながらも自分の剣をちらと見る。背中から抜いた剣は予備の剣で、片手に持つ魔剣カリバーンには劣るが、名高い名匠が打った業物だ。  それが見事にボロボロになっていた。所々穴が開いており、交差するように魔剣をかざしていなかければ胴体にも同じような穴が開いていたかもしれない。
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8296人が本棚に入れています
本棚に追加