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少し離れた所から、装甲車を行動不能にした勇者が歩み寄ってくる。
「なぁ、なんで俺ら『勇者』とやらにこんな目に遭わされてんの?」
とクロムは隣に立つテノールに尋ねた。
「さぁ…多分、帝国に雇われたのでは…?」
と、テノールは答えた。十数メートルの所で、スタームは立ち止まると、声を張り上げた。
「俺の名はスターム!そちらはリーナ・カルヴァンとその仲間で間違いないな!?」
「す…スターム!?」
剣先が震えるテノール。
「有名人?」
「有名も何も!世界に名を轟かしている武闘派です!」
「へぇ…そりゃまた…」
そう分かったような分からないような返事をすると、クロムはサブマシンガンの照準をスタームの頭に合わせて、言った。
「…で、そいつが何か用か?おっと動くなよ、蜂の巣にすんぞ」
「…へぇ…俺の名を聞いても恐れないとはね…どこの国の奴か知らないが、珍しいな」
実際はスタームの名を知らないから恐れないのだが、スタームにそんな事が分かるはずもなかった。
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