8296人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間、サブマシンガンの弾が切れた。
「……っ!?」
スタームが好機と見て剣を腰だめに構える。薙払うつもりだ。そう感じた瞬間、クロムは激烈な死の恐怖に襲われた。
「うおぉお!」
咄嗟に手にしたサブマシンガンをスタームに投げつけ、拳銃を抜こうとした。
が、しかし、ホルスターに拳銃は無かった。テノールに渡しっぱなしだったからだ。当のテノール本人は少し離れた所で装甲車を守るようにして立っていた。
そして、スタームの剣が振り抜かれた。剣は宙を舞っていたクロムのサブマシンガンを吹き飛ばし、無数の部品の欠片に変えた。
そして、剣の腹がクロムの腹にめり込んだ。
「がっ……!」
まともな悲鳴もあげられず、クロムは真横に吹き飛ばされる。そのまま、路上に放置され風化しかかったトラックのコンテナ部分に叩きつけられた。錆び付いていた荷台をへこませ、地面に倒れるクロム。倒れた上から錆から出た粉が降りかかった。
「ぐ…ぅ…」
「拍子抜けだな…こんなに弱かったのか?」
そう言ってクロムを一瞥した後に、スタームは装甲車へと向き直った。テノールが明らかに動揺して得物を構える。
「あ~、お前邪魔」
そう言ってスタームは短く呪文を詠唱する。途端に竜巻が発生しテノールを持ち上げると、高めの位置から地面に叩きつけた。
「ぐぇ」
カエルのような悲鳴あげたて悶えるテノールを無視して、装甲車に歩み寄る。
最初のコメントを投稿しよう!