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残るは、装甲車に乗る二人だけだ。全身にはしる痛みをこらえて、クロムは悶絶しているテノールへと這い寄ってゆく。肋骨が折れたかもしれない。体中が悲鳴をあげていた。
スタームは散歩でもするようにゆっくりと装甲車に歩いていた。そしてそこにたどり着くと、内部に隠れているであろう2人に呼びかける。
「リーナ・カルヴァン。大人しく出てこい。…命は保証するって、帝国は言ってたぜ?」
すぐに車内から返答があったリーナの声だ。
「卑怯者の帝国の約束など信用できません!」
「ふぅん、そうかよ」
スタームはそう言うやいなや大上段に剣を振りかぶり、装甲車に向けて振り下ろした。金属と金属のこすれる嫌な音が響き渡り、火花が散る。そして、装甲車の厚い装甲は切り裂かれ、内部を露出させた。
「怪我をしても責任はとらな…」
と言いかけたスタームの前に、車両の穴から飛び出して来た人物が一人。ルルゥだ。
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