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スタームの肩に破裂音と共に穴が穿たれた。
「…ま…まだだ…」
「…あ?」
スタームが振り向くと、そこには地面に転がったまま、銃口から硝煙の漏れる拳銃をスタームに向けるクロムの姿があった。
「…ぐ…」
テノールから抜いた拳銃でクロムが発砲したのだ。倒れた格好から上半身だけを持ち上げた不自然な姿勢での射撃だ。
クロムは体力、気力共に底を尽き、照準がぶれ、実際は頭を狙ったもの肩に当たってしまったのだ。視界の風景が歪み、照星が何個にも見える。スタームが「てめぇ…」と向き直るのを待たず、クロムは拳銃を連射した。
パァン!という軽やかな銃声と共に、腕から肩に伝わる9ミリ拳銃弾の軽い反動。マガジンに残る弾を全て撃ちつくさんと、クロムは引き金を引き続けた。
「ってぇな!しつけぇぞ」
「ぐう…クソっ…」
しかし照準の合っていない銃程当たらない物は無い。スタームが避けるまでもなく、弾丸唸りながら地面に当たり、空を撃ち、背後の雑草の茂みに消えた。
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