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そして拳銃も弾が切れた。スライドが後退した状態で固定され、弾切れであることを持ち主に伝える。クロムは動こうとしたが、体が全く動かなかった。それ程までにスタームの攻撃はクロムの体力を削り取っていた。
「なんだ?もう終わりか?」
スタームは血を流している肩を押さえると短い呪文を唱える。すると、手のひらから淡い光が発生し、怪我を瞬く間に治癒してしまった。
「治癒魔法も使えるのか…」
かすれた声で驚愕するテノール。
「いやぁ、俺にサシでこれほどの傷を負わせたのは最近だとあんただけだ」
そう言ってクロムにスタームは歩み寄る。そして撃ち尽くした拳銃をにぎり荒い息をしているクロムの胸部を軽く、ブーツを履いた足で押した。なんの抵抗も無くばったりとクロムは倒れた。
「でも、あれだ。俺の求める力には足りない」
スタームはクロムの体をまたいで立つと、手に持つ剣を逆手に構えた。
「こう見えて俺は慎重派でね、今後かかって来られると面倒な奴は消しとくことにしてんだ」
構えた剣の周囲の空気が揺れる。
「俺の魔剣カリバーンは、倒した戦士の魂を吸収して強くなる。あんたもこの剣の養分になりな」
「や…やめろ!」
テノールの声を無視して、スタームは剣をクロムの胸に向けて突きおろした。
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