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先程の無線を警察も聞いていたのか、戸惑った後に取り敢えず住民を街のシェルターへ避難させようとする。
しかし、住民はなかなか動かない。状況が理解できていないのだ。
「まずいな…」
その時、遠くから爆発音が響いた。パパパという気の抜けた銃声が聞こえる。恐らく防壁にいる部隊の銃声だろう。その音に住民も気付いたのだろう、やっと人が流れ出した。
しかし、次の瞬間、敵が放ったであろう流れ弾のロケット弾が大通りのビルに着弾した。轟音と熱風。爆発によって飛び散ったガラスとコンクリート片。ビルの中にいた人間は恐らく助からなかっただろう。
群衆は瞬く間にパニックとなった。凄まじい勢いでシェルター方面へ流れだす。
「皆、基地に戻るぞ! 戦闘準備だ!」
人の波に押し流されそうになりながらクロムは叫んだ。少し離れたところからアキの、
『分かったーー!』
と言う声が聞こえ、クロムは基地に向かって人を掻き分け進み始めた。
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