第8章》騎士団迎撃

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 テントの横には、確かにジープが置いてあった。少し古い型の無骨な車両で、今では装備の転換により退役間近の物だった。車体後部には車載の重機関銃が取り付けられており、兵士が弾帯を取り付けていた。 「メイプルフィールド軍曹、準備完了です。ご武運を」  弾帯を取り付けた兵士はアキに敬礼してそう言うと、他の仕事を片付けるために走り去っていった。アキは運転席に乗り込むと、差しっぱなしになっていたキーを回す。  どるん!という旧式のエンジン始動音がし、あたりに排ガスの臭いが広がった。アイドリングで激しく振動する車体と臭いに辟易しながらフレグがぼやいた。 「うひゃあ、旧式のオンボロじゃないっすか」 「まぁ、十数年前にできたやつですからね~、よくメンテされてる方じゃないですか?」  そう言って後部座席に乗り込み、デールとフレグは支給された装備を点検してゆく。レントは重機関銃を点検していた。 「副隊長、機関銃は問題無い」 「じゃあ、出発するよ」  そう言ってアキはアクセルを踏んだ。ガタガタと激しく振動しながらジープは目的地に向け、走り出した。
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