8296人が本棚に入れています
本棚に追加
「皆、喋ってばかりいないで…あの丘の上なら見晴らしがよさそうね」
アキの視線の先には小高い丘があった。確かにあそこなら周囲の状況も分かりやすいだろう。レント達も丘の方を見て、頷いた。
ジープはスピードをあげ、丘へ向かう。数分もしないうちにたどり着き、アキはジープのギアを変えた。エンジンが騒音を発し、排ガスの香りをまき散らしながら丘を登り始めた。排ガスに咳き込みながらフレグは文句を垂れる。
「うへ、ポンコツめ…隊長の装甲車よりも小さい癖に燃料消費が激しいってどういうことすか!」
「こいつが旧式の証拠ですよ、僕達の装甲車はハイブリッド車でしたから」
「…クロ、無事かな…」
それぞれが呟いたその時、突然、ばばすん…と、エンジン音が消えた。
「「「…は?」」」
丘の中腹まで来ていたジープは、ゆるゆるとバックし始めた。エンジンが止まったのだ。
「くっ…!」
あわててアキはブレーキを踏むが、速度は一向に緩まず、むしろスピードは増してゆく。
「ブレーキまでいかれたの!?」
「えぇぇぇ!?ちょ、すいませんジープ様!ポンコツなんて言ってすんませんしたあぁぁぁぁ!!」
そんなフレグの悲鳴を残し、ジープは丘の麓までバックして行った。
最初のコメントを投稿しよう!