第0章》プロローグ

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数時間後  クロム隊の装甲車は、唸りをあげて疾駆していた。街中の至る所から爆発音が聞こえ、銃声が鳴り響く。  結局、敵の侵攻を防壁の部隊では止められなかった。  城壁の分厚い鋼鉄製の隔壁を下ろしたので時間は稼げたようだ。パレードをやっていた戦車隊は直ちに隔壁の前に展開、敵の侵入を押し留めようとした。しかし、圧倒的な物量差で防衛線を食い破られ、市内での散発的な市街戦に移行してしまったのだった。  クロム達の乗る装甲車は六輪装甲車の上に戦車砲を載っけたような形をしている。形としては、米軍のストライカーが近いだろうか。本部と通信していたデールが、ヘッドセットから耳を離して言った。 「聞こえが悪いですが、住民を街の地下のシェルターに移送したとのことです!」 「被害は?」 「詳細は分かりません!とにかく多数の死者とだけ…」 「クソ、なんだってこんな日に!」  装甲車は路地を抜けて大通りの方へ向かってゆく。道の脇に置いてあったポリバケツが、装甲車に弾き飛ばされ中身を撒き散らした。 「…じゃあ皆、もう一回任務の説明をするぞ!」
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