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地面がめくれあがり、土が周囲に飛び散った。魔術の真空の塊を叩きつける、「エアハンマー」の呪文の威力だ。
アキ達にも大量の土砂が降りかかる。衝撃波でアキはなぎ倒されて呻いていた。ぼんやりと思考にもやがかかっているようだ。
「なんすか!?なんなんすか!?」
やけにぼやけたフレグの声が聞こえる。鼓膜をやられたのだろうか?
「あ、アキさん!無事ですか!?」
と、デールの慌てた声に、アキは片手を支えにして起き上がった。もう片方でライフルを掴み、ふらつきながらも立ち上がる。
「ほ…本部は、なんて?」
「今、攻撃を受けた事を伝えました!キャンプは今頃大慌てで戦闘準備をしています!敵の兵力の報告もしときました!支援が欲しい場合は言え、だそうです!あと、ヤバかったら撤退せよ、とも!」
「…分かった」
そういうアキから少し離れたところで、レントが無線機に何事かを怒鳴っている。支援要請のようだ。
「本部へ、ロケット砲による支援を要請する!敵の距離はキャンプから約3キロの地点!弾着修正はこちらから指示を出す。急いでくれ!」
草原から地響きを伴って先程の集団が迫ってきている。太陽の光に反射して、彼等の得物が光った。
銃なんかよりも遥かに殺気を感じる武器に、アキは身震いした。
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