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「敵が来るぞー!」
「戦闘用意!」
キャンプでは、現在大慌てで野戦陣地の設営に入っていた。謎の敵を迎撃するための準備である。バケツリレーの要領で、どさどさと土嚢が積まれてゆく。キャンプの外周にはジグザグに鉄条網が張られ、側防火器の取り付けにかかっていた。
それらの間を三台のトラックのようなものがキャタピラを鳴らしながら走り抜けてゆく。アキ達の要請に応じたロケット砲車両だ。
ロケット砲車両はキャンプから少し離れた所に停車すると、発射態勢に入った。コンテナ部がリフトアップされ、斜めに傾いた。ロケット砲車両の助手席に座る兵士が心配そうに運転席の兵士に話しかける。
「稜線射撃とかできるんですかね?」
この隊はアキ達のいる丘越しに敵へロケット弾を撃ち込む手筈になっていた。
「あのな、この兵器はそれをやるための兵器なんだよ。出来るに決まってんだろ!」
「…丘に当たらなきゃいいんですけど僕ら実戦なんてやったことないんですし…」
ロケット弾は風に流されやすい。運が悪いと味方のいる丘に直撃する事になる。
「大丈夫だって、多分当たらんよ!」
運転席の兵士はそう言うと、無線を使って丘にいる味方に連絡を始めた。
「こちらロングボウ、これより攻撃を開始する!撃てーーっ!!」
同時にスイッチを押すと、コンテナ部の蓋を破って、バシュゥゥウ!という発射音と大量の煙を撒き散らしながら、ロケット弾が発射された。
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