第8章》騎士団迎撃

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  今、兵士達は驚愕していた。  アストラニア軍の目の前に、今まで見たこともない軍勢が展開されている。彼らは鎧に身を包み、剣や槍を持っている。数は丘の稜線を埋め尽くす程。正直数え切れない。陽光を反射した敵の得物に、アストラニア兵は唾を飲んだ。 「…総員、戦闘用意」  次の瞬間、キャンプのあちこちから初弾を装填する音が聞こえてきた。戦車や自走砲も、今までほとんどしたことのない目視照準で敵に砲口を向けた。 帝国軍も、怪訝な顔をしていた。カルヴァン兵では、無い。今まで見たことのない軍隊らしき集団は、自分達のいる丘の下に帝国から見れば小さい野営所を作っている。  自軍と比べれば遥かに小さい小規模な部隊だ。吹けば飛ぶような、ちっぽけな存在。しかし、帝国には、そこにある物が何かを知る由も無い。帝国第7騎士団の団長は剣を抜くと、それの切っ先を天へと向けた。 「行くぞ皆の者!」  兵士達は得物を突き上げ、それに答えた。 「「「応!!」」」 「進め―――ッ!」  ときの声と共に地響きをたてながら前進する帝国軍と守りを固めて己を守らんとするアストラニア軍。 これが、異世界でアストラニア軍が組織として戦った初の戦いの始まりであった。 ・
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