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腹に響く地響きと共に、鎧の集団が迫ってくる。土嚢の後ろにしゃがんでアサルトライフルを構えていた兵士は、本能的な恐怖を感じた。
『まだ、撃つな…他が撃っても指示があるまで撃つなよ…』
その兵士達の無線には、隊長の声が届いた。
「なんなんだアイツら…」
「銃が恐ろしく無いのか…?」
そんな声が、防御陣地の間に広がってゆく。そんな時、無線が兵士達を驚かせないように、静かな口調で言った。
「ロケット砲、自走砲、撃ち方始め!」
兵士達の背後から気の抜けた雷のような音と、しゅるしゅるという風を切る音が聞こえる。
自走砲の砲撃音と、ロケット弾の音だ。
攻撃は敵の鎧達に降り注ぎ、敵は悲鳴をあげて爆散した。敵の歩みが一時的に止まるが、またも前進を始めた。
「なんだってんだあいつら!?死にたいのか!?」
ある兵士はそう叫んだ瞬間、突然の轟音と吹き付ける風にたじろいだ。
彼のいる土嚢から少し離れた所の戦車が発砲したのだ。周囲に土煙がまき散らされ、まわりの草が薙ぎ倒される。
目に見えない速度で飛んでいった砲弾は、敵軍のど真ん中を吹き飛ばした。そこでやっと敵軍に動揺がはしった。こちらへ突っ込んでくるスピードが目に見えて落ちたのだ。
「よし…!いけるぞ!」
そんなことを言っている間にかなり近付かれていたのか、敵側からの攻撃も始まった。
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