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敵軍の背後に黒い壁が立ち上がった。
「お?なんだ…?」
兵士はそれが何なのか分からず、立ち尽くしていた。
次の瞬間、兵士の肩に矢が突き立っていた。黒い壁は敵軍の放った弓矢だったのだ。
「…っ!?痛ってええ!?」
兵士が悲鳴をあげた時、防衛陣地の一角に弓矢の雨が降り注いだ。その兵士は、全身に矢を受けて絶命した。この兵士が今回の戦闘における最初の犠牲者となった。
他の兵士と同じように防御陣地に配備されたレントは、敵の背後から現れた弓矢の雨を見た瞬間、慌てて土嚢の後ろに滑りこんだ。一緒ににいたフレグとデールも引きずり込む。
「なんすか!?」
「え、レントさん、何を――」
デールがそう言いかけた時、地面に矢が突き立った。どこからか悲鳴が聞こえる。
デール達の近くに立っていた兵士の肩に矢が突き刺ささり、次の瞬間、無数の矢が突き刺さった。兵士は声も出せずに倒れた。次々と無数の矢が地面と、倒れた兵士に降り注ぐ。その音はまるでスコールのようだった。
「ひっ!ひいぃ!?」
目の前で痙攣する死んだ兵士を見て、フレグは悲鳴をあげた。
――目の前で味方が死んで、びびっちまってるな…
レントはこいつもだろうなとデールを見た。
しかし、冷静な目で死体を見るデールの顔がそこに見えた。
――あれ?平気?
レントがそう考えた瞬間、デールが一言発した。
「これは夢だ」
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