第8章》騎士団迎撃

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 敵軍の背後に黒い壁が立ち上がった。 「お?なんだ…?」  兵士はそれが何なのか分からず、立ち尽くしていた。  次の瞬間、兵士の肩に矢が突き立っていた。黒い壁は敵軍の放った弓矢だったのだ。 「…っ!?痛ってええ!?」  兵士が悲鳴をあげた時、防衛陣地の一角に弓矢の雨が降り注いだ。その兵士は、全身に矢を受けて絶命した。この兵士が今回の戦闘における最初の犠牲者となった。  他の兵士と同じように防御陣地に配備されたレントは、敵の背後から現れた弓矢の雨を見た瞬間、慌てて土嚢の後ろに滑りこんだ。一緒ににいたフレグとデールも引きずり込む。 「なんすか!?」 「え、レントさん、何を――」  デールがそう言いかけた時、地面に矢が突き立った。どこからか悲鳴が聞こえる。  デール達の近くに立っていた兵士の肩に矢が突き刺ささり、次の瞬間、無数の矢が突き刺さった。兵士は声も出せずに倒れた。次々と無数の矢が地面と、倒れた兵士に降り注ぐ。その音はまるでスコールのようだった。 「ひっ!ひいぃ!?」  目の前で痙攣する死んだ兵士を見て、フレグは悲鳴をあげた。  ――目の前で味方が死んで、びびっちまってるな…  レントはこいつもだろうなとデールを見た。  しかし、冷静な目で死体を見るデールの顔がそこに見えた。  ――あれ?平気?  レントがそう考えた瞬間、デールが一言発した。 「これは夢だ」
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