第8章》騎士団迎撃

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 第7騎士団の団長は、先程までアキ達がいた丘の上から、戦闘の様子を見ていた。風に乗って血の臭いが漂ってくる。 「劣勢だな…」  団長の隣から戦況を分析していた副官が団長に声をかけた。 「あの茨に我が軍は足止めを食らっているようですね。被害は増える一方です」  副官の言う茨と言うのはアストラニア軍の展開した鉄条網の事だ。彼は知らない事だが、鉄条網には電流が流れていて、触れる兵を感電させていた。更に、鋸の歯のように展開した鉄条網を切ろうとするものがあれば、鉄条網にとりつく者を撃つ為だけに配置され、地面に半分埋まった状態の側防火器である機関銃が火を吹いていた。  鉄条網に足止めされた者は側防火器の掃射を受け、次々と鮮血を撒き散らし、倒れてゆく。更にキャンプの方向からロケット弾や砲弾が飛んで来るため、帝国軍の前線部隊は、ほぼ一方的に倒されていった。 「敵は見たこともない攻撃を用いてきています。ここは一旦退いたほうがいいのでは?」
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